第91章 異変

娘の泣きじゃくる声を聞いて、花見美代子の心臓が跳ねた。

「どうしたの? 何があったの?」

彼女は事態が飲み込めず、困惑していた。

今の西園寺家において、西園寺玲奈の機嫌を損ねるような真似をする者など、誰ひとりとしていないはずだからだ。

「お母さん……あいつが来たの……」

西園寺玲奈は嗚咽を漏らしながら、はっきりとは言おうとしない。

花見美代子は眉をひそめた。

「誰のこと?」

「赤谷伸治よ! あいつがここに来たの!」

西園寺玲奈の声は、いまにも崩れ落ちそうだった。

その名前を聞いた瞬間、花見美代子は戦慄した。

「どうやって来たの? まさか、会いに行ったの?」

つい先ほど...

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