第7章

彩花の悲鳴は耳が痛くなるほど大きかった。彼女は後ろに倒れ、テーブルに激突した。

『あの顔。純粋な恐怖。今夜彼女が演じてみせたどんな感情よりも、この恐怖は本物だ』

「ふざけるな!」龍一が叫び、ナイフに手を伸ばした。

「私なら、そんなことはしないけど」私はゆっくりと立ち上がりながら言った。パーカーは血でぐっしょり濡れていたが、アドレナリンが痛みを忘れさせてくれた。

「ありえない」と和也が言った。「死んだはずだ。確認したんだぞ」

「どうやら、あなたたちが思ってるほど人殺しは得意じゃないみたいね」

「美奈子、生きててよかった!」彩花が言いかけた。「私たちは.......」

「芝居はや...

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