第8章

俺が建物から出たと同時に、三台のパトカーが角を曲がってきた。赤と青の回転灯が通り一帯を照らし出す。俺は通りの向かいにあるコーヒーショップの戸口に身を潜め、事の成り行きを窺った。

『完璧なタイミングだ。奴らは中に閉じ込められ、外には警察。逃げ場はない。これが正義というものだ』

警官たちは素早く建物を包囲する。無線で連携を取っているのが見えた。手際が良く、プロフェッショナルだ。

俺のアパートの窓越しに、三人がパニックに陥っているのが見える。龍一は窓の外を、和也は部屋をうろつき、彩花はソファに座って両手で顔を覆っていた。

拡声器から警官の声が響く。「こちら桜川市警察本部。中にいるの...

ログインして続きを読む