第8章

 榊原柚葉視点

 今日は、榊原家恒例の宴会が開かれる日だ。

 私は鏡の前に立ち、念入りにイブニングドレスを選んでいた。深みのある青いシルクのドレスは、控えめでありながらも優雅で、私の肌の色を完璧に引き立ててくれる。

 今夜は、最高に綺麗な私でいなくちゃ。鏡の中の自分に微笑みかけながら、榊原奏が私を見たときの表情を想像する。私たちの関係はまだ公になっていないけれど、心の奥底では、この大切なイベントで彼の隣に立ちたいと願っていた。

 ピンポーン――

 ドアベルの音が、私の甘い空想を打ち破った。

 ドアスコープを覗き込んだ私は、凍りついた。

 榊原栞奈?

 どうして彼女がここに?

...

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