第113話

デスクに戻り、オーリエイト・アワードのウェブサイトを開いて、個人でエントリーするには何が必要かを確認した。

ヴァイオレット・リンが幽霊のようにぬっと背後に現れ、私の肩越しに画面を覗き込んだ。

「あら、サイトをチェックしてるの?」彼女は得意げな口調で言った。

何かを誇示するかのように、ブラックコーヒーの入ったカップをカチャンと大げさな音を立てて私のデスクに置く。

「もう話は聞いたんでしょう?」

「あなたの声量なら、地下で掃除してる清掃員さんにも聞こえてるわよ」

「あの枠は私のものよ」

「聞こえてるって言ってるでしょ」

「でも、あなたも諦めが悪いわね。まだエントリーしようとしてるわけ? まあ、時間...

ログインして続きを読む