第14話

はっと顔を上げた。

アシュトンだった。隣に住む、とんでもなく魅力的な人。

「知り合いが……事故に遭ったかもしれないんです」こみ上げてくるパニックを飲み込み、私は言った。「グレンジャーさんの家に行かないと」

ようやく頭が働き始めると、私は慌てて携帯を取り出し、ウーバーを呼んだ。

ふらつきながら立ち上がり、二歩ほど歩いたところでアシュトンに腕を掴まれた。「俺が送る」

「大丈夫です、自分で――」

「ここからじゃ車を捕まえるのに時間がかかりすぎる」まるで私が同意したかのように、彼はすでにエレベーターへと私を引っ張っていた。「車は下だ。その方が早い」

彼の言う通りだった。それに、口論する気にもなれなかっ...

ログインして続きを読む