第172話

「痩せたな」彼は私の頬に唇を寄せながら言った。「トーストとコーヒー以外のものも食べろよ」

私が返事をしようと口を開いた瞬間、彼は再びキスをしてきた。もっと強く。

言葉を発する隙もなかった。

背中がクッションに深く沈み込み、まともに息もできなくなる。

彼は片腕で私をぐいと引き起こしたが、それでもやめなかった。

彼は酔っていなかった。もし酔っていたらどうなるかなんて、考えたくもなかった。

昨夜、私たち、試してみようと同意したとき、まさか彼の内なるスイッチを入れてしまうなんて知らなかった。

「集中してないな」歯が耳を掠めるのを感じながら、彼が囁いた。

そして彼は私をひょいと抱き上げた。片手は太腿の下...

ログインして続きを読む