第177話

階段を上り、最初に見つけたドアを開けた。

ウォークインクローゼットだった。

棚はぎっしり。ただ在庫があるというだけじゃない――詰め込まれている。

ドレス、トップス、サンダル、それにダース単位でありそうなサングラス。

全部、私のサイズ。

しかも、どれも私が本当に着そうな服ばかり。

ハンガーレールから薄緑色のTシャツを掴み取り、白いスウェットパンツを履いた。

フライトで髪はぐちゃぐちゃだったので、きつくまとめてお団子にする。鏡に映った自分をチェックした。

カジュアル。清潔感がある。なんだか……やけに楽しそう。

まあいいか。空港にいた人たちなんて、みんなビーチホリデーのオーディションでも受けるみたい...

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