第182話

アシュトンは膝の上でオーリエイト・アワードのプログラムを広げ、スポンサーのリストに目を通していた。

前方では、新設されたばかりのステージが頭上のライトを浴びて輝いている。

時間切れになれば、出場者たちがそこでコンセプトを発表することになるだろう。

リハーサルが進行中で、ステージには司会者が立ち、制作スタッフが散らばってマイクや立ち位置の確認をしていた。

ステージに向かって並べられた折り畳み椅子は、その半分がまだ空席のままだ。こんな早い時間に入場している観客はまだ少数だった。

「アシュトン!」

名前を呼ばれ、彼は顔を上げた。

オクタヴィアが息を切らしながら駆け寄ってきた。「奥さんがハメられようと...

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