第189話

「わかった」とだけ言って、私は通話を切った。

ダイニングテーブルの準備は整っていた。カトラリーはまっすぐに並び、ワインは冷え、皿からは湯気が立っている。

一瞬そこに立ち尽くし、それから椅子に崩れるように座って食事を始めた。

三口食べたところで、もう無理だった。

何もかも、味がしない。

残りはそのままに、リモコンを掴んでソファに倒れ込んだ。

三十分が過ぎた。

何を見ていたのか、まったく思い出せない。

顔を上げると、音を消された『トムとジェリー』が流れていた。

ふっと短い笑いが漏れた。何がおかしいわけでもない。

立ち上がってケーキを運び出し、テーブルの上に置いた。

引き出しから小さなスプーンを取り...

ログインして続きを読む