第211話

ダニエルと私がシャトルバスに着いたとき、時刻はちょうど十時だった。

私たちが最後というわけでもなかった。

グループの半分は、まるでベッドから這い出してきたばかりといった様子で、ぞろぞろと集まってきた。

会場に向けて出発したのは、結局十時半だった。

午前中はショールーム回りが立て続けにあった。

溢れるほどのロゴ、作り物めいた笑顔。そのすべてが、ベージュのカーペットとムード照明のぼんやりとした光景の中に溶け込んでいく。

昼食後、私たちはカンファレンスルームに集められ、今度はブランド説明会が立て続けに行われた。

椅子は硬く、空調は生ぬるい。そして私の後ろの女性は、まるでアライグマでもこっそり運び出そ...

ログインして続きを読む