第23話

ヴァイオレットの顔がひきつった。彼女は虚しく携帯に手を伸ばす。

少女は素直に画面を拡大した。その目は大きく見開かれる。「Mの字があるわ」と、彼女は思わず声を上げた。「小さいけど、確かにある!」

群衆の中にさざ波のような動揺が広がった。

「それってデザイナーのサインよね? Mって」誰かが囁いたが、それはもう囁きとは言えないほどの大きさだった。

「Mって書いてある。ちくしょう、本当にミラベラのデザインじゃないか!」

ヴァイオレットの顔は幽霊のように真っ青になったかと思うと、次の瞬間には茹で蛸のように真っ赤になった。彼女は携帯をひったくると、それを殺さんばかりの勢いで電源ボタンを連打した。

だが、も...

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