第281話

私にサバイバルの経験は皆無だった。スーツケースに腰掛けたまま、途方に暮れる。アシュトンに目をやると、彼はまだ自分の小さなケースの中身を整理しているところだった。「まず、何をすればいいの?」

「この森を抜ける」

スーツケースのキャスターはとっくに壊れていたので、アシュトンは両肩に一つずつ担ぎ上げて歩き出した。

私は慌てて後を追い、手を貸そうとした。でも、彼は私の助けを必要としなかった。

「隣を歩け」

「え?」意味がわからなかったが、素直に彼の隣に並ぶ。「どうして?」

「腕を組め」

彼の腕に視線を滑らせる。肩にかかる重みのせいで、筋肉がくっきりと浮き彫りになっていた。力強さと、むき出しのパワーが混...

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