第312話

「君の誕生日、下四桁だ」と、彼はなんとか言った。

それを聞いて、喉が締め付けられる思いだった。彼は私の誕生日を暗証番号にしていたのだ。

電話が繋がり、ハリーがワンコールで出た。「ボス?」

「私よ、ミラベル。アシュトンが撃たれたの。ひどい出血よ。今すぐ病院に手術の準備をさせて! こっちも向かってる」

「承知しました」ハリーは即座に答えた。

「キット、もっと速く走れないの?」私は叫んだ。

「やってます!」キットは叫び返した。その手は白くなるほど強くハンドルを握りしめている。

病院には瞬く間に着いた。入り口ではハリーがすでに待っていて、中では医師と看護師のチームが待機していた。

彼...

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