第332話

アシュトンは頷いた。

カルメンは満足げに微笑んだ。「よかったです。ではお任せしますね。終わりましたらお呼びください」

彼女は一瞬ためらってから、付け加えた。「ローラン奥様、お戻りになって本当によかったです。奥様がいらっしゃらなかった間のローラン様といったら、見たこともないほどで。まるで……完全に道を見失ってしまったようでしたわ。本当に」

「道を見失った」というその言葉が、冷たい刃のように私の肋骨の間に滑り込んでくるのを感じた。

まただ。彼を思うと胸が痛む。

自分が情けないのはわかっていた。この男は他の女のために私を何度も伤つけたというのに、それでも私は、彼に対していつもの同情の疼きを感じてしま...

ログインして続きを読む