第391話

地面からゆっくりと浮き上がり、やがて滑らかに高度を上げていく。

地上のスタッフに目をやると、ぞくりと不安が背筋を走った。「私たち二人だけで、本当に安全なの?」

「もちろんだ。ハネムーンは二人きりだからこそハネムーンなんだろ?」

私は唇をきゅっと結んで彼の方を向いた。窓から差し込む光が彼のシャープな顔立ちを和らげ、一瞬、その表情はとても穏やかに見えた。

少し間を置いて、私は尋ねた。「島を一周するだけ?」

彼は私を一瞥し、口の端に静かな笑みを浮かべたが、答えはなかった。

推測するのは諦めて、私は代わりに外の景色に集中することにした。

ヘリコプターは島の上空を飛び越え、海へと向かった。豊かな緑が遠ざ...

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