第122章 卑屈でも傲慢でもない

「なんで、あなたのバッグの中にあるのよ……?」清水環奈の顔には、驚愕と困惑が同時に浮かんでいた。

温井知夏は余裕たっぷりに、彼女を見返す。

――さっきぶつかってきた使用人は、環奈の差し金だったのだろう。あの隙にブレスレットを知夏のバッグへ滑り込ませ、大勢の目の前で「盗んだ」と騒ぎ立て、名誉を潰す。

やり口が汚い。

温井知夏の唇が、冷えた弧を描く。

幸い、使用人の様子がどこか不自然だと気づいた時点で、知夏は一枚上手だった。トイレの場所を尋ねるふりをして席を外し、鏡の前でバッグの中身を確認――見覚えのないブレスレットを見つけた。

しかも、知夏はそれに触れていない。指紋が残るはずもない...

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