第129章 偏執

「清水三郎!」清水由衣は怒りを押し殺せずに詰め寄った。「いったい何をするつもりなの?!」

「清水家の基盤を潰す気?」

「母さん、そんなつもりはないよ」清水三郎はくすりと笑う。だが、その瞳に温度は欠片もなく、声だけが歪に甘かった。「俺が欲しいと思った人は、俺のものだ。誰にも奪わせない。絶対に」

言い捨てると、清水三郎は踵を返した。

「三郎!」

「戻りなさい!」

呼び止める声など聞こえないとでも言うように、清水三郎は一度も振り返らず、奥の洋館へまっすぐ歩いていく。

息子の背が完全に見えなくなるまで見送って、清水由衣は胸元を押さえた。怒りで呼吸が浅くなり、心臓がどくどくと脈打つ。

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