第133章 光泰療養所

「光泰療養所……」

鈴木慶輔が、その名を口にした。

それを聞いた温井知夏と黒崎冬馬は顔を見合わせ、互いの目に驚きが浮かぶ。

「そこへ行ったことがあるのか?」

「いや」鈴木慶輔は首を振り、付け足すように言った。「『温井拓海』が、前にその場所のことを口にしてたんだ」

温井拓海が。

温井知夏の胸の中で、確信がさらに重く沈んだ。温井拓海は、おそらく――清水家が当時失った、もう一人の息子だ。

もしかすると、失ったのではない。

温井拓海は、光泰療養所から逃げ出したのだ。

父が拓海を拾ってきたのは、街中だった。温井知夏は覚えている。初めて温井家に来たときの拓海は、髪はぼさぼさで、身なりも...

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