第15章 殺人犯に遭遇する

「……ああ、考えすぎるな」九条司はそう言いながら、彼女の瞳をじっと覗き込んだ。

「それが言いたいなら、はっきり言うわ。私は考えすぎたりしない」九条知夏の声は、相変わらず冷えたまま平坦だった。

望んでいた答えのはずなのに。実際に彼女の口から聞くと、九条司の胸の奥に、理由のわからない苛立ちが湧いた。

「……ならいい」低く言い捨てる。「家にいろ。俺たちが戻るまで、待ってろ」

それだけ残して、九条司は背を向けた。

ほどなく外から、車が走り去る音がした。

九条知夏は気にも留めず、田中さんが置いていった朝食を黙々と平らげた。

今日は、よく晴れている。

父の命日だった。

九条知夏は花束を...

ログインして続きを読む