第153章 因縁の相手と出くわす

「冬馬お兄ちゃん――」

津崎詩織の声が、ふいに震えた。堪えきれなくなったように、鼻をすする音が混じり、小さく泣き出す。

その横から津崎玲美がスマホを奪い取り、取り繕うように言った。

「冬馬、詩織は本当に反省してるのよ……」

「叔母さん、こっちはまだ用がある」

それだけ告げると。

相手の返事を待つことなく、黒崎冬馬は通話を切った。

スマホを車のダッシュボードに放り投げ、眉間に苛立ちを滲ませる。

助手席の温井知夏は、さっきの声を聞いていた。

あんなふうに親しげに「冬馬お兄ちゃん」と呼ぶ女――。

胸の奥が、言葉にできない味で満たされる。喉元まで出かかった問いを、知夏はそのまま飲...

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