第159章 贈呈

会場が、どよめいた。

「2,500万、いちど――」

「にど――」

その瞬間、地の間のどこかの客が札を入れる。

「3,000万」

温井知夏は唇をきゅっと結び、淡々と上乗せした。

値はあっという間に8,000万へ跳ね上がる。古書そのものの価値を、とっくに超えている。

それでも――父が命のように大切にしていた品を取り戻すため、知夏は引かずに追った。

やがて気づく。

相手は、彼女の札に必ず「500万」だけ足してくる。まるで、わざと。

――誰?

――私をここへ誘い込んだ相手……?

そのころ、地の間・8番観覧室。

「何なのよ、あいつ! どこの誰よ、ずっと張り合ってきて!」

狐...

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