第165章 卑しい心

「今の私は、あなたの心配なんて一切いらない。あなたの『心配』は、吐き気がするだけ」温井知夏は一語一語、噛みしめるように言った

冷え切った、嫌悪のこもる視線を真正面から浴びて、九条司はよろめき、立っているのがやっとだった。

温井知夏はもう彼を見ようともしない。病室のドアを開けて中へ入り、手際よく閉めると、そのまま鍵を掛けた。

廊下。

九条司はしばらく立ち尽くし、それからようやく踵を返した。

――ただし、病院を出たわけではない。

彼は温井知夏の主治医のもとへ向かい、容体を確認した。

軽い脳震盪だと聞かされ、胸の奥に張りつめていたものが、ようやくほどける。

診察室を出ると、九条司は...

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