第175章 偽装カップル

「九条司!」

「黙れ!」

上座にいた温井千代が、ついに堪えきれず声を荒らげた。

温井千代の視線が、元婿の癪に障る顔を刃のように切り裂く。

「何の資格があって、うちの娘が新しい人生へ進むのを止めるの? 確かに結婚はした。でも、もう離婚したでしょう!」

「裁判所の判決書だって、こっちに残ってる。法律を飾りだとでも思ってるの?!」

九条司は義母の正論に叩きのめされ、言葉を失った。

温井千代はひとつ深く息を吸い、冷ややかに嘲る。

「……そりゃ知夏が冬馬を好きになるわけだわ。あんた、冬馬の足元にも及ばない」

その一言は、あまりにも容赦がなかった。

九条司の顔色がみるみる悪くなる。だ...

ログインして続きを読む