第180章 家に連れ帰る

「違うよ」

黒崎冬馬が穏やかな声で否定した。

「考えた結果は、今夜0時までに返事をくれればいい。それともう一つ――手元の仕事、片づいた?」

含みのある言い方に、温井知夏は思わず促す。

「回りくどいのはやめて。用件、全部言って」

「……うん」

冬馬は短く相槌を打ってから、本題に戻った。

「今夜、うちに来ない? 食事でも」

温井知夏の顔に、隠しきれない驚きが浮かぶ。

――家に? それって、年上の家族に会うってこと?

でも、私たち、まだ……。

知夏は唇を結ぶ。

「急すぎるよ。私――」

言い終える前に、冬馬がさらりと言い切った。

「今、華天タワーの下にいる。降りてきて」

...

ログインして続きを読む