第19章 もう気にしない

「知夏、やめてよ……脅かさないで!」九条美幸は胸元を押さえ、息が乱れた。

九条知夏は淡々とした顔のまま、けれど眼差しだけは真っ直ぐだった。

「お義母さん、冗談じゃありません」

九条美幸は歯を食いしばる。

「清水環奈って女が、あなたに何か吹き込んだんじゃないの? 変なこと考えないで。司は私の息子よ。あんたたち、もう何年も夫婦なんだから……あの子だって、外で本当に好き勝手するほど――」

「お義母さん、もう気にしてません」知夏は穏やかな声で、義母の言葉を遮った。

以前の自分なら、九条司と清水環奈の些細な接点ひとつでさえ、胸が焼けるほど苦しかっただろう。

けれど今は違う。心はとっくに死...

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