第20章 海外へ行く

「パパ、もう悪いママのことなんか構わないでよ。昨日だって、わざと私のメッセージ盗み見したんだ。ほんと最低」九条杏奈がむくれて訴えた。

「杏奈、もう『ママが嫌い』なんて言うな」九条司は一瞬言葉を詰まらせ、それから確かめるように続ける。「……何を盗み見したんだ?」

杏奈は、パパが悪いママを叱ってくれるのだと思い込み、待ってましたとばかりに、見たままを――いや、見た以上に盛って喋り出した。

娘の「添え油」まみれの説明を聞き終えた九条司は、顔を険しく沈めた。だが、胸の奥は妙にざわついていた。

司は膝をつき、杏奈の小さな肩を両手で掴む。声音だけは落ち着かせたまま、表情は硬い。

「杏奈。……マ...

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