第212章 後悔した

「あとで帰るにしても、運転しなきゃいけないし」

その言葉を聞くなり、温井千代は口元をつり上げて笑った。

「だったら今夜は帰らないで、泊まっていきなさいよ。部屋ならいくらでもあるんだから」

黒崎冬馬は何も言わず、ただ視線を上げて、隣にいる小柄な女性を静かに見た。

その熱を帯びた眼差しに気づいた温井知夏は、頬がかっと熱くなる。

「……お母さんがそう言うなら。今夜は泊まっていって」

「うん。知夏の言うとおりにする」

黒崎冬馬は唇をゆるめて答えた。

「そうこなくっちゃ」温井千代は嬉しそうに目を細める。「ほら、せっかくだし二杯くらい付き合って」

「うん」温井知夏は母の手から赤ワインの...

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