第24章 風口浪尖に押し上げられる

「パパ、ママに会いたい……」

「よしよし、泣くな。これ以上ひどくなったら――」九条司は低い声で宥めた。

九条杏奈の涙は止まらない。呼吸が、だんだん浅く速くなる。

喘息の発作、その前触れ。

九条司は焦って娘の顔を覗き込み、言い聞かせる。

「約束する。パパが必ずママを連れ戻す」

その言葉に、杏奈はぴたりと泣きやんだ。

「指きり」

小さな小指が差し出される。九条司は困ったように息を吐き、指を絡めた。

まだ四歳だ。わがままを言うのも、意地を張るのも当たり前――そう思うしかない。

娘が眠りに落ちるのを見届けると、九条司は付き添いを一人手配し、田中さんと交代で杏奈を見守る段取りを整え...

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