第25章 心の中は少しも波立たない

「もちろんです」

九条司は無表情のまま頷いた。

「ネット上に飛び交っている数々の噂は、根も葉もない話です。私は妻と結婚して何年も経ち、娘もおります。私たちは娘を心から愛しています」

「九条社長。では、報道に出た清水さんとは、どういうご関係なんですか?」

九条司は唇を引き結ぶ。

「彼女とは友人です」

「友人なら、なぜ深夜にあんなふうに抱き合っていたんです? 写真の角度からして自宅のようにも見えます。奥さまはそれを目撃して家を出られた、ということでは?!」

記者は食い下がる。

九条司の冷たい眼差しが、質問した記者を刃のように射抜いた。

「妻との間に誤解はあります。だが、不倫相手...

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