第45章 顔、どうしてこんなに赤いの?

「黒崎さん……」温井知夏は一歩、また一歩と後ずさった。心臓が太鼓みたいに鳴っている。

黒崎冬馬は、彼女が自分を怖がっているのだと思ったのだろう。瞳の奥にかすかな痛みがよぎり、掠れた声で言った。

「……怖がらないで。お願い」

「あなた……」温井知夏は、どう返していいか分からない。

今夜の闇が濃すぎるせいだ。でなければ、黒崎冬馬の声が――懇願みたいに聞こえるはずがない。

きっと、気のせい。

温井知夏は一度目を閉じた。もう一度、ちゃんと彼の目を見ようとして――

その瞬間、大きな手のひらがふいに、彼女の視界を覆った。

闇が落ちる。なのに、耳も肌も、息づかいさえも、やけに鮮明になってい...

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