第72章 新たな手がかり

娘は小さな両腕で薄い掛け布団をぎゅっと抱え、ドア脇の壁にもたれて、こっくりこっくり舟を漕いでいた。

見つけなければ、危うく踏んでしまうところだった。

九条杏奈は眠たげに目をこすり、甘えるような声で呼ぶ。

「ママ」

温井知夏は眉をひそめた。

「どうしてこんなところにいるの」

九条杏奈は布団を抱えたまま、床からよろよろと立ち上がる。

「ママ、今日、一緒に寝てもいい……?」

おずおずとした問いかけだった。

「だめ」

温井知夏は即座に断った。

杏奈はたちまち口をへの字にして、今にも泣き出しそうに目を潤ませる。

「泣かないで」

温井知夏の声がわずかに低くなる。

そのひと言に...

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