第74章 危険な境地

「調べはついています。ですが、近辺の監視カメラは老朽化がひどく、使えるものも人為的に壊されていました」

それを聞いた瞬間、黒崎冬馬の目に凍てつくような殺気が走った。彫りの深い顔立ちはぴんと張りつめ、空気まで冷え込む。

「当主様、あの温井さんですが……」

黒崎冬馬は鋭く彼を一瞥し、低く言い切った。

「児島さん。彼女は俺にとって、特別な人です」

児島は若い頃から、黒崎冬馬の父に仕えてきた男だった。

冬馬が執事一族の家業を継いでからは、父の命で彼の側につき、今では右腕と呼べる存在になっている。

その児島ですら、今の言葉には目を見張った。

若き当主に長く仕えてきて、女の一人をここまで...

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