第78章 彼は力ずくで奪うべきだ

「伯母さんがいらしたので、ちょっと外を見てきますね」

黒崎冬馬が穏やかな声で言った。

「うん、お願い」温井知夏は小さくうなずく。

言い終えると、黒崎冬馬は踵を返して病室を出た。

廊下に出た冬馬を見つけるなり、温井千代が駆け寄り、手をつかんで焦ったように問い詰める。

「冬馬、知夏は……どうなの?」

「ご安心ください。知夏さんはもう目を覚ましました」冬馬は優しく言い、少し間を置いて続けた。「今なら入って大丈夫です。会ってあげてください」

千代は何度も頷き、そのまま足早に病室へ入っていった。

冬馬は静かに病室の扉を閉める。

——九条司が中を覗き込む視線を、遮るように。

九条司は...

ログインして続きを読む