第94章 退任

「この人、知らないの? 九条会長だよ」

「……前の九条会長か」

古くからの個人株主たちが、すぐにその中年男の素性に気づいた。

そのとき、九条淳史は険しい顔のまま壇上へ上がった。背後には、数名の取締役たちが付き従っている。

父が取締役を引き連れて現れた瞬間、九条司の表情が一気に冷えた。

九条淳史は不快そうに息子を睨みつける。

「この愚か者。権限を預けたら、このザマか。どういう会社運営をしてる」

九条司は唇をきゅっと結び、何も言わない。

九条淳史は息子から視線を外し、下にいる株主と記者たちへ向き直った。

「皆さん、こんにちは。九条グループ前会長の九条淳史です。私の躾が行き届かず...

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