第27章 最後の偏執と頑固

夜十神家の御曹司は、切れ長の眉に澄んだ瞳、その卓越した風采と神秘的な雰囲気、圧倒的な存在感で、どんな女性をも魅了してしまう人物だった。

かつての彼女は、たった一目見ただけで、すっかり心を奪われてしまった。

幾多の昼と夜を重ねる中で、彼女は彼の面影を何度も何度も心に描き続けた。

だからこそ、彼が現れた瞬間、あんなに離れていても、すぐに分かったのだ。

最初は中にいる人が夜十神さんではないことを祈っていたのに、今では頬が痛いほどだ。

本当に夜十神さんだった。

夜十神望は美咲の手の届かないように、携帯を頭上に掲げた。

美咲は夢中で見ていたところだったし、それに彼がいるんだから、何も危険な...

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