第6章

「ねえ、貴志」私は言った。「離婚の慰謝料の話をする前に、私たちの宝くじの当選金がどこへ消えたのか、見せてもらえないかしら」

「あなたの当選金ですって?」レイヴンが甲高い声で噛みついた。「あなたの金じゃないわ」

「それがね、テキサスでは、婚姻期間中に購入した宝くじの当選金は共有財産になるの。ちゃんと調べてあるのよ」

貴志は、居心地が悪そうに身じろぎした。

「由紀子、話をややこしくするのはやめてくれ」

「銀行の取引明細を見せて」

「どうしてだ」

「夫が、私に別れを告げる前に、ガールフレンドの宝飾品に一体いくら使ったのか、見てみたいからよ」

言い争いは、屋外の駐車場にまで持ち越...

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