第108章

柚木結華はマンションの敷地を出たところで、ふと思い出したようにハンドルを切り返し、車をUターンさせた。

社会人になりたての頃は意気込んで、デスク周りを彩る小物をいくつも買い揃えた。けれど出社してからは林田清美に露骨に押さえつけられ、柚木安東も知らん顔。仕事は味気なく、息が詰まるばかりだった。

それでも、あの小物たちがあったからこそ、気を紛らわせることができた。分社勤務になったからといって、適当に捨てられるのは――どうしても忍びない。

三十分後。柚木グループ本社の駐車場に車を停め、結華はエレベーターで上階へ向かった。

デザイン部のフロアで人が降りた瞬間、外がやけに騒がしい。視界の端に、...

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