第128章

柚木結華は、飛んできた灰皿の軌道を追って視線を上げた。ソファに座る柚木安東が、怒りで顔を真っ赤にしてこちらを睨みつけている。

「無名の弁護士なんぞに嫁いで、よくこの家に戻って来られたな!」

「こっちはお前と一緒に恥をかく気はない。結婚式? 出るわけないだろ!」

柚木安東にとって柚木結華は、失望を重ねる存在だった。柚木家に何ひとつ貢献しないどころか、父の顔に泥を塗り、家の名まで汚す。――こんな娘、いないほうがましだ。

その隣には、林田美菜子と林田清美が並んで腰掛けていた。結華が部屋に入る前まで何を話していたのか、口元にはまだ笑みの名残がある。安東の罵声が飛ぶと、その目の奥に、からかうよ...

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