第155章

柚木結華は口元をわずかに吊り上げた。

「今夜なら空いてる」

「じゃあホテルを押さえて、メッセージで住所送るわね」

林田清美の声は終始にこやかで、欠点のひとつも見当たらない。

「うん」

柚木結華は通話を切った。

退勤間際、先回りして仕事を片づけ、約束の場所へ向かう。

大きな窓のそば。林田清美は無表情のまま席に座り、柚木結華の姿を見つけると、指先で軽く招いた。

「私たち、世間話はいらないでしょ。で、何の用?」

柚木結華はオレンジジュースを頼むと、先に切り出した。

その見下ろすような態度に、林田清美はわずかに目を細める。

いつから柚木結華は、こんなふうに堂々と自分に物を言える...

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