第162章

柚木結華は門前で止められ、柚木安高に会うことすら叶わなかった。

柚木家に、彼女の居場所はない。デパートとノディ一号以外、行く当てもなかった。

けれど、彼女が会いに行くはずだった男は、結華が柚木家に着く前に九条グループへ向かったあとだった。

社長室。

九条獅堂は手元の書類を置き、入ってきた人物へ視線を上げる。

柚木安高は不自然さのない笑みを浮かべていた。

「九条社長。事前にアポイントを取る時間がなくてね。お仕事の邪魔になっていませんか」

九条獅堂は礼儀として口元だけで笑い、「座って」と短く告げた。

九条グループの事業は多岐にわたる。だが、柚木安高と組むような案件は記憶にない。

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