第22章

骨董市場はH市の旧市街にある。タクシーに乗れば、そのまま目的地まで連れて行ってくれる。

柚木結華が着いた頃には、露店は果てが見えないほど並び、観光客もすでに大勢いた。道幅が狭いところでは肩がぶつかり合い、互いに身をよけないとすれ違えない。

胸いっぱいの期待と熱で、柚木結華は一つひとつの店先を流していく。

ここに来るのは観光客だけじゃない。筋金入りの愛好家もいて、品を手に取っては掌で転がし、角度を変え、裏返し、丹念に観察している。

高級ホンシタン、ルドラクシャ、古銭……ありとあらゆる品が揃っていた。

けれど、ひと目で分かる。並んでいるものの大半は、どう見ても「ただの物」だ。中には、家...

ログインして続きを読む