第28章

林田朔也は九条獅堂から電話を受け、何かあったのだろうと察して、事情も聞かずに救急箱を提げて家を出た。車のドアを開け、救急箱をトランクに入れた、その直後――また九条獅堂から着信が入る。

今度は、女医を一人紹介してほしいという指示だった。

林田朔也は指定された住所を確認し、女医側の事情説明を聞いて、頭の上に大量のはてなを浮かべた。いったい何が起きたのか。まさか、自分が想像した通りの――そう問い詰める前に、九条獅堂は慌ただしく通話を切ってしまう。

かけ直しても、九条獅堂は出ない。

ホテル。

九条獅堂はドアスコープ越しに女医の姿を確かめると、鍵を開け、何も言わずにそのままバスルームへ向かっ...

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