第30章

柚木結華の頬が、さっと熱を帯びた。

七瀬伊江――大学時代、生徒会で知り合った後輩だ。生徒会の用事で顔を合わせることが多く、いつの間にか自然と距離が縮まり、気づけば友人になっていた。

そういえば卒業後、七瀬伊江も弁護士になったと聞いたことがある。しかもいくつもの事件で弁護を担当し、ことごとく勝訴。いまや頭角を現している――そんな噂まで。

けれど、卒業してからは一度も連絡を取っていない。

こんな状況で再会してしまうと、さすがに気まずい。柚木結華は曖昧に笑ってみせた。

「……すごい偶然ね」

さっきまでの最悪な気分を押し隠すように、無理やり口元を持ち上げる。

七瀬伊江は眉を上げ、彼女が...

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