第34章

翌日、九条グループ。

九条陽向は役員室の革張りソファにふんぞり返り、脚をデスクの下へ投げ出したまま、部下の報告に耳を傾けていた。そこへ、外から「コン、コン、コン……コン」と、三回叩いて一拍置く独特のノックが聞こえる。

返事をする間もなく、扉が外から押し開けられた。

「九条様」

九条陽向は首を傾げ、部下越しに来訪者へ視線を投げる。次の瞬間、背筋が条件反射で伸びた。ついさっきまでの気だるげな表情が、露骨にへつらったものへ変わる。

「斎藤秘書……どうしてここに?」

同じ「九条様」と呼ばれることがあっても、自分は事業部の専務にすぎない。九条獅堂は九条グループの社長――重みがまるで違う。

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