第4章

「だめっ!」

柚木結華は自分の声が大きすぎたと気づき、内心ひやりとする。九条陽向に違和感を悟られたくなくて、慌てて咳払いでごまかした。次に口を開く時には、できるだけ柔らかい声に整える。

「今、メイク直してるだけ。そんな大げさにしないで。先に行ってて、あとで私が探しに行くから」

言い終えた瞬間、下から押し上げる力がさらに深く、さらに強くなる。

――わざとだ。声を漏らさせて、破綻させるつもり。

結華は唇を噛みしめ、痛みで誤魔化しながら耐えた。声だけは、絶対に落とさない。

「……本当に平気か?」

閉ざされた扉を前に、九条陽向が眉をひそめる。さっきの声、明らかにおかしかった。だが錯覚だ...

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