第5章

物音に気づいて外を向き、手すりにもたれていた九条陽向が、のんびりと振り返る。そこにいたのは、雪のように白いドレスをまとった柚木結華。化粧直しを終えたばかりの顔立ちは、さっきよりもいっそう艶やかだった。

結華は慌てて手を離し、外からの視線を遮るように扉を押さえながら、中に見えた男のすらりとした影に目を見張る。

「陽向、ずっとここにいたの?」

本当は、陽向はさっき一度この場を離れている。けれど外の延々と続く挨拶回りを思うだけでうんざりした。そこへ、ふと脳裏に浮かんだのだ――中で、甘い雰囲気の美人が鏡の前にいる姿が。足が止まり、気づけば引き返していた。

「会いたくなった」

陽向は鼻先を軽...

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