第51章

九条陽向と林田清美が隣でぎゃあぎゃあ騒いでいる間に、すでに17番の出品物は落札されていた。いま残っているのは、会場最後の一品だけ。

スタッフが、その最後の出品物を取りに行く。

柚木結華はグラスを、通りかかった給仕のトレーへそっと戻すと、九条獅堂のそばへ歩み寄った。彼の手から札をひったくり、林田清美の目の前でひらひらと揺らしてみせる。

黒いレース縁の仮面の奥。柚木結華の澄んだ瞳が、得意げな挑発を滲ませた。

「この最後の一品――あんたたちがいくら出しても、私のほうが上をつける」

最後の数語だけ、わざとゆっくりと、尾を引くように。露骨な軽蔑が混じる。

結華は清美より背が高い。そのまま距...

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