第6章

林田清美も彼らを見つけ、ハイヒールを鳴らしながら、笑顔で近づいてきた。

「お姉ちゃん」

林田清美は無表情の柚木結華に自分から声をかけ、次いで九条陽向へ視線を移すと、砂糖みたいに甘い笑みを浮かべた。

柚木結華の母が亡くなった夜、父は林田美菜子と林田清美を家へ連れ込み、そのまま住まわせた。

あとになって知ったことがある。林田美菜子は父の「高嶺の花」だった。柚木家の事業のために母と結婚し、母の亡骸も冷めぬうちに、待ってましたとばかりに林田美菜子へ“正妻”の座を与えたのだ。

そして義妹の林田清美は、上へ上へと取り入ることに貪欲だった。名流の集まりがあれば必ず嗅ぎつけ、どうにかして潜り込み、...

ログインして続きを読む