第8章

「まだ言うの?」

林田清美はくすりと笑い、指先で九条陽向の胸をつつくと、そのまま外へ押しやった。

「さっきはお姉ちゃんの前で、きれいさっぱり私のこと否定してたくせに」

拗ねたように責めながらも、清美の目は次第に澄んでいく。さっきまで人を煽っていたのが彼女じゃないみたいに。

九条陽向は清美の手首を掴み、自分の胸の上でゆっくりと撫でさせた。

「聞こえた? 欲しい」

もともと露骨な男だ。清美はそれにまた喉を鳴らして笑う。

「お姉ちゃんといる時も、こんな感じなの?」

途端に、陽向の指に力が入った。声が苛立ちを含む。

「その名前出すな。ムカつく」

三年も付き合って、せいぜい手を繋ぐ...

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